本の詳細
進化医学入門
――人生を生き抜くための――
著者 | : | 森 治郎 |
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発行年月日 | : | 2016/09/28 |
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サイズ | : | 四六判 |
ページ数 | : | 264頁 |
ISBN | : | 978-4-906907-06-9 |
定価(税抜):1,700円
- 内容紹介
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現代病のルーツを進化の観点から紐解く「進化医学」の入門書決定版。疾病に留まらず、虐待などの社会問題も人類の進化史から根源的な理由を探る。メタボ、腰痛、うつ、虐待、老化……現代人の悩みは、進化の代償だった。
〈目次〉
はじめに
進化医学とは
進化医学では病気に対してhowではなくwhyからアプローチする
進化医学的アプローチは視点をこう変える
進化医学は、多くの健康・社会問題に「納得」を提供してくれる智慧
第一章 生物の進化現象
進化とは
ダーウィンが明らかにした進化現象
進化医学は「時間」という座標軸を加えて立体的に考える学問
遺伝とは
偶然の「エラー」で書き換えられてきた生物の設計図
DNAの遺伝情報はたった四種類の塩基の組み合わせ
無限の遺伝的バリエーションが生み出されるメカニズム
コラム:真核生物と原核生物
親から子へ伝わる特徴は想像以上に多い
なぜ男女が存在するのか
「適応度」:すべての生物の営みを説明する共通原理
コラム:ハミルトンの法則
第二章 ヒトの進化史と生物学的特徴
ヒトの歩んだ軌跡
ヒトのユニークな特徴
まだ謎の多い人類進化の軌跡
Y染色体とミトコンドリアDNAの分析でヒトの軌跡が明らかにされた
日本人には世界中のY染色体が揃っている
ヒトゲノムの個体差は極めて小さい
コラム:トバ事変
コラム:ボトルネック効果
ヒトが高度な知性を獲得するに至った過程
直立二足歩行の意味
肉食が、脳の巨大化を可能にした
脳内報酬系:進化の過程で強化されてきた「快感」のシステム
私たちの祖先の暮らし
実は人類の歴史の大半は狩猟採集生活
祖先たちはどのような食生活を送っていたのか
ミーム:ヒトだけが持つことを許されたもう一つの「自己複製方法」
コラム:アクア説
第三章 進化医学からみた病気
究極要因による病気の分類
究極要因の本質は「なじみの環境が急速に変化すること」
進化医学が有用な局面
コラム:感染経路と病原微生物の戦略
進化医学でみた病気
痛風:尿酸は人体にとって諸刃の剣
鎌状赤血球症:マラリアの流行が、異常遺伝子の適応度を高めた
腰痛:狩猟採集をやめた人類が背負った宿命
コラム:ストレスと腰痛
アレルギー:行き場を失った免疫システムの暴走
労働者の健康問題と進化医学
コラム:産業医学とは
生活習慣病:飽食の時代に間に合わなかった進化
糖尿病と肥満:世界でもっともありふれた健康問題
高血圧:陸に上がった生物に課せられた代償
コラム:サラリーマンの語源
コラム:レニン・アンギオテンシン・アルドステロン系(RAA系)
生活習慣病に対する進化医学的アプローチ
コラム:健康的な食習慣、運動習慣とは
成人病胎児期発症説(DOHaD仮説)と若い女性のやせ
生活習慣病は胎児期に始まっている
若い女性の「やせ願望」を進化医学で紐解く
生活習慣病に世代を隔てて考える視野を
進化医学でみたメンタルヘルス
メンタルヘルス対策はますます重要性を増している
精神障害と進化医学
不安障害:「不安」を感じられる者が生き残った
アルコール依存症:アルコール好きは食料探しの名人だったか
統合失調症:現生人類の進化の原動力?
うつ病:一度立ち止まり、資源の振り分けを考える機会
第四章 進化医学から見た育児
育児に関するヒトの特徴
ヒトは短期間では成熟しないようにできている
ネオテニー:「幼さ」も一つの武器
「おばあさん」のおかげで、ヒトは勝ち残った?
常にヒトは捕食者から狙われながら進化してきた
現代社会と育児をめぐる環境
現代人がこんなにも育児に悩むのは二つの理由から
「母性」は最初から備わっているわけではない
育児における対立もまた男と女の宿命
知能や情緒の発達にもメリットが多い母乳育児
授乳やスキンシップが母性を開花させる
コラム:Fight or flight reaction(闘争‐逃走反応)
世界から評価された日本人の伝統的育児
父親も育児に関わることで脳に変化が起こる
子ども虐待とヒトの育児
日本における虐待の現状
日常生活にひそむ生物学的虐待
コラム:エピジェネティクス
虐待現象の普遍性
コラム:哺乳類の子殺し
強いストレスで成長期の脳は傷つく
虐待は百年近い人生に深い爪痕を残す
虐待現象の究極要因:男女の存在そのものと子どもの脳の悲しい適応能力
これからもヒトらしい社会をつくり続けるために
第五章 進化医学から見た労働
労働と健康障害
ストレスとは
五人に三人が強いストレスを感じている日本人労働者
労働とストレスの因果関係とは
過重労働が社会全体に深刻な影響をもたらしている
日本人と過重労働
日本人の長時間労働は世界最高水準
国内の労働時間の変遷
海外から不気味がられる「過労死」のインパクト
「神様も働いている」日本人の労働観
特殊な成り立ちが日本人の労働観を作った
労働とは
ヒトはいったいなぜ働くのか
労働の変遷に翻弄されてきたヒト
動物学者の考える労働と幸福
労働のなかに狩猟の要素を
コラム:バタフライ・エフェクト
進化医学が教えてくれる究極のメンタルヘルス対策
コラム:現代に発掘されたワークエンゲイジメント
今後のメンタルヘルス対策
第六章 進化医学から見た老化、死、そして人生
老化と死の恐怖
老化現象:なぜヒトは老いを嘆くか
細胞レベルでみた死のメカニズム
死は生のためにある
老化と死に向き合い、人生をヒトらしく生き抜くために
無意味な人生を生きることは不可能
おわりに
参考文献