今年、田窪恭治は倉敷市にある大原美術館・大原別邸の障壁画に取り組んだ。このパーマネント・コレクションの壁画をモチーフに描き上げたのが、2012年のイヤープレート「大原別邸に咲く林檎の花」である。例年どおり有田の白磁に呉須のコバルトブルーの線で描かれている。東日本大震災の最中に、東京都現代美術館「田窪恭治展 風景と芸術」で、初めての包括的な展示を成し遂げた田窪はその足で大原美術館での個展を開催した。その間に製作したのがこの2012イヤープレートであり、田窪の東日本大震災への鎮魂と祈りを込めた作品である。製造は宮内庁御用達の深川製磁、伝統ある白磁と呉須のブルーは見事である。