2012年秋、田窪恭治は陸前高田市米崎町にある松月寺で屏風絵に挑んだ。前年3月11日に襲った壊滅的な破壊からの復興を願い、この松月寺を地域の活動拠点とすべく構成を練っている。その活動の最初の仕事として、屏風絵の創作を始めたのである。
そこで感じたものは、夢のはじめ、復興への希望であった。その志のまま、東北地方から一転、九州・有田へ向かい絵筆をとったのが今回の作品である。テーマは薔薇。愛や希望などの花言葉を持つ薔薇こそが、田窪恭治の心のうちを表現するのに相応しかったのであろう。筆のタッチもソフトでしなやか。再生への希望にむけて、田窪恭治の新たな心境を表している。
製造は宮内庁御用達の深川製磁、伝統ある白磁と呉須のブルーが輝いている。