1984年、ヴェネツィア・ビエンナーレでの衝撃的なデビューから25年。ノルマンディーで、そして琴平で。宗教的な素材を素に空間的足跡を残してきた田窪恭治が、イヤープレートにその絶対現場の思想性を表現します。琴平山再生計画の過程で生まれたカフェ・レストラン「神椿」。そのコンセプトは琴平山に保存されていた手付かずの原生林でした。「神椿」では呉須のコバルトブルーで描かれた椿が有田焼の表面を被っています。そしてそこの資生堂パーラーで使用されるプレートも同じ有田焼。新たな表現形態を求めて行き着いた思想の凝縮が有田焼のプレートなのです。
パトスと田窪恭治のコラボレーションでもあるこの「イヤープレート企画」。田窪恭治はこの企画のために2008年夏、新たに有田の地を訪れ50枚を描ききりました。イヤープレート制作は2009年より永久に続きます。絶えることなく、琴平の地から世界へと発信します。毎年1枚は永久保存のため手元に留め、残り全てを愛好者の手元へとお届けします。
今年のイヤープレートは新茶所「神椿」で取り組んだ日本の伝統的技術「有田焼」をベースに、金比羅宮のシンボルである椿を心の赴くままに描きました。27cmの径の中に田窪恭治の現在の境地を表現しました。わずか25枚プラス25枚。全てのプレートが田窪恭治のパトスに溢れています。再来年2010年のテーマは、そして素材は。手にとって見た者には必ず次への期待を抱かす不思議な力を持ったプレートです。再来年2010年のイヤープレートに思いを馳せながらお求めいただきたい田窪ワールドです。